2019年9月27日金曜日

建物探訪 群馬音楽センタ-

 9月20日、高崎駅東口に新しいホ-ル、高崎芸術劇場がオ-プンしました!杮落しの第九は抽選で外れてしまったため、まだ内部に入ったことがないですが、どんな響きがするのか楽しみです。


 先日551回目の定演を迎えた群馬交響楽団の本拠地も、音楽センタ-から芸術劇場へ移ることとなりました。 
 1961年(昭和36年)に開館した「群馬音楽センタ-」。1955年に公開された群馬交響楽団がモデルの映画「ここに泉あり」のヒットを機に、「音楽センタ-建設運動」が広がり、実業家・井上房一郎の呼びかけで、市民からたくさんの寄付が集まり建設されました。チェコの建築家アントニン・レ-モンドが設計し、60年近く多くの人々に親しまれ愛されてきた建物です。
 
 帝国ホテルの設計のため、フランクロイド・ライトの助手として来日したアントニン・レ-モンド。群馬音楽センタ-はレ-モンドの代表作のひとつであり、DOCOMOMO(近代建築の保存と調査のための国際組織)20選にも選定されている後世に残すべき近代建築です。


 市民からの多額の寄付を有効に使うため、無駄なものを省いた鉄筋コンクリ-ト折板構造が採用されました。折り紙のような構造体をホ-ル内で直接体感できるおもしろさがあります。
 同じ1961年に完成した上野の東京文化会館(設計・前川國男)は、ダイナミックで豪華、重厚な雰囲気を醸し出していますが、同じコンクリ-ト造でも群馬音楽センタ-は、軽やかで明るく、のびのびとした印象。とても群馬らしい建物に思えます。


 6月16日、この音楽センタ-で、高崎高校吹奏楽部OB会による創部80周年記念演奏会が開催され、中島桂一もフル-トパ-トの一員として参加しました。
 音楽センタ-と同じ年に生まれ、中学・高校と吹奏楽部だった主人曰く、「演奏会やコンク-ルなどで何度もステ-ジで演奏した。独特の平べったい空間。コンクリ-トや合板が多いのにどこか温かみがあり、建築にエネルギ-を注いだ設計者、施工者の人間味を感じる。開館からほぼ60年、建物としては、これから成熟したいい時期を迎える年齢なので、音楽センタ-に手を加え、今後ももっと積極的に活用されることを願います。」
 
 新しいホ-ルへの期待はもちろんありますが、年月を経て味わいが出てきた群馬音楽センタ-が、これからも高崎を代表する建物として愛され使われ続けますように。