2019年3月26日火曜日

「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」~生活デザインの原点をめぐる5つの可能性~

 1933年に来日し、少林山達磨寺洗心亭に約2年滞在したドイツ人建築家ブル-ノ・タウト、群馬音楽センタ-を設計したアントニン・レ-モンドとノエミ夫妻。2人を招き、高崎で工芸運動や文化振興に尽力した事業家井上房一郎。この3人を中心に、国境を越え、日本にモダンデザインを芽吹かせ広めた建築家やデザイナ-に焦点を当てた企画展「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」を、高崎市美術館に見に行きました。
 
 昨年はブル-ノ・タウト(1880-1938)の没後80年、アントニン・レ-モンド(1888-1976)の生誕130年、井上房一郎(1898-1993)の生誕120年にあたる年でした。また、仙台の商工省工芸指導所でタウトに学んだ剣持勇、レ-モンド門下のジョ-ジ・ナカシマ、レーモンドや剣持と協働したイサム・ノグチら、ジャパニ-ズモダンを追求したデザイナ-たちの作品も多数展示。建築物の写真や図面、椅子、照明器具など約180点を通して紹介し、高崎を中心にモダンデザインの歴史を振り返る展覧会です。
 
 タウトやレ-モンドと高崎の関係を漠然と知っている方は多いことと思います。彼らが日本滞在中に何を考え、どういう場所で、どういう人たちと関わり、どんな作品を作り出していったのか、日本に何を残して行ったのか、モダンデザインがどう受け継がれていったのかなど、具体的な作品を通して詳しく知ることができました。
 
 木や竹、籐や和紙など、素朴な材料を使いながらも洗練されたデザインの作品は、美しく、丁寧さと温かみが感じられとても人間的で、年月を経た現在でも魅力を保ち続けています。
 第2次世界大戦前後、工業化が進んでいく時代に、土地土地の伝統文化を尊重し、手仕事の良さと量産化の追求に挑戦、より良い暮らしを夢見て制作に励んだ建築家やデザイナ-たち。
 彼らがこの世からいなくなっても、作品に込められた情熱や愛情はなくなることはなく、デザインとして残り使い続けられていくことに感動しました。住宅もそうでありたいものだと実感した展覧会でした。