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2019年11月30日土曜日

日射し

 今年も残り少なくなってきましたね。寒くなってきましたので、皆様風邪など引かないよう、くれぐれも体調に気をつけてお過ごしください。

 当社ロビ-の吹抜けは、南窓を天井まで大胆に取っており、太陽の角度によって、夏はほとんど陽が入らず、冬は部屋の奥まで陽が入るパッシブデザインとなっています。
 今日はお天気が良く、昼間は日射しがよく入りとても暖かく、薪スト-ブなしで過ごせました。
 紅葉したセコイアの間から陽が射し込んできて、ゆらゆらと光が揺らいでいます。それを見ていると、気持ちが良くリラックスし、時間が経つのを忘れます。
 何かと騒がしい世の中、特に年末ともなると気忙しくなってきますね…そういう時こそ季節や時間の移り変わりを感じながら、家の中で静かに過ごすひと時を大切にしたいものです。




猫のみなちゃんも気持ち良くお昼寝中。

2018年12月28日金曜日

住宅設計士 中島桂一著「家づくりの 本当はどうなの?」

 11月に「家づくりの 本当はどうなの?」という本を出版致しました。本書では、30年以上住宅の設計と施工業務に関わってきた経験から、お客様との打合せの中でよく話題に上がる「家づくりの意外な真実」の一部を取り上げています。





~はじめに~
「楽しいはずの家づくり… でも意外にブルー?」
住宅設計士 中島桂一

 一生に一度の家づくり。誰しも失敗しないようによく考えて作りたいと思うのではないでしょうか。 しかし、何をどのように考えていけば良いのか、途方に暮れてしまう方もいらっしゃると思います。お金のこと、間取りのこと、家の技術的なこと、面倒くさそうな手続きのこと、業者選びやつきあい、家族の意見の調整、スケジュール、子供の学校や引越しのこと…。
勉強しようと思っても、世間には業者(最近では関係省庁まで)による我田引水的な情報ばかりが氾濫し、本当のことが見えにくくなっています。メディアも、視聴率や発行部数を稼ぐために、変わった情報、珍しい物、極端な事例ばかりを取り上げます。

 これから家を作ろうとしている人の「戸惑い」や、私のような一部の業界人が感じている「違和感」を無視するように、世の中の風潮はどんどん変わっていくように見えます。バリアーフリーだ、耐震性能だ、シックハウスだ、省エネだ、と時代と共に右へ倣え、十把一絡げで事が進んでいきます。楽しいはずの家づくりなのに、まるでマリッジブルーのように憂鬱に感じる人もいるかもしれません。
 しかし、他人に必要なものと自分にとって必要なものは同じとは限りません。また、どんなものにもメリットがあればデメリットもあります。大切なことと枝葉末節のこと、自分でなければわからない事と人に任せられること…。本当はどうなの? 何でそうなの? 氾濫する情報に流されず、落ち着いて、自分で確かめて判断する必要があります。

 目新しい物、フォトジェニックな家(最近では“インスタ映え”なんて言うらしいです)を追いかける表面的な楽しみを卒業し、憂鬱な心配ともお別れして、地に足の着いた楽しい家づくりにお役立ていただければ幸いです。自分やご家族の、これからの暮らしに必要な「大切な何か」を間違えないために。

*本書の内容をご紹介します。
こちらのペ-ジをご覧ください→「家づくりの 本当はどうなの?」

「家づくりの 本当はどうなの?」          住宅設計士 中島桂一

社長の中島桂一が、昨年11月に「家づくりの 本当はどうなの?」という本を出版致しました。本書では、30年以上住宅の設計と施工業務に関わってきた経験から、お客様との打合せの中でよく話題に上がる「家づくりの意外な真実」の一部を取り上げています。



~本の内容を少しご紹介します~

 
●家づくりの「本当はどうなの?」
 1   「アパ-トの家賃がもったいない」?
 8   「今が建て時です!」と言うけれど…
12  「思い通りの家ができるか心配で…」
                          : 

 ●木・自然素材の「そうだったのね!」
15  木にこだわるには訳がある
17  内装材は肌着、自然素材をバランスよく
18  「フロ-リング」って木じゃないの?
                          :

 ●間取り・設計の「なるほどね~」
28  間取り設計は生活戦略
31  空間を共有して「小さくても広い家」に
45  収納はストレスもしまう
                          :

 ●暑さ寒さ・換気の「それってどうなの?」
57  方位によって窓を工夫
63  快適さは“ゆらぎ”の中にある
66  「高気密」って、抵抗感ありませんか?
                          :

 ●予算・契約・施工の「それもそうね!」
67  ぜい肉落としてメリハリ予算
68  考えつくして自然な決断を
69  住宅は難しくてはいけません
                          :

 内容は全部で70タイトル、約160ペ-ジあります。
 ひとつひとつは短く、どなたでも楽しく読んでいただける、わかりやすい内容となっております。全部読む必要はありません。これから新築やリフォ-ムをお考えの方に、興味のあるところだけでも読んでいただき、家づくりの入門書、手引書としてお役立ていただければ幸いです。
 ご希望の方は、当社までお気軽にお問合せください。
 

2017年5月30日火曜日

空間の嗜(たしな)み

殿様と雲助

 「楽あれば苦あり」ということわざは、楽な時もあれば苦しい時もあるという、「時間」軸上の苦楽の意味として使われます。しかし、古いいろはかるたの絵札には、雲助が旦那の乗ったカゴを担いでいる絵が描かれているものがあります。なるほど「どこかで楽をしている人がいればどこかで苦労している人がいる」という、「空間」上の苦楽として解釈することも可能です。
 
 「遠き慮(おもんぱかり)なければ、必ず近き憂いあり」という論語の言葉も、遠い将来のことまでよく考えて行動しないと、必ず近い将来困ることが起こる、という「時間の遠近」で使われますが、「遠き慮り」を遠い世間のことまで考えた広い視野、「近き憂い」を身近なトラブルと言う風に「空間の遠近」で解釈しても、「視野が狭いと些細なことが心配になる」というような、もっともな教訓として捉えることができると思います。
 

人生という空間

 時間と空間というのは、グラフの縦軸と横軸のように切っても切れない関係にあるように思います。森羅万象はすべて時間と空間の中にあります。私たちは「人生という時間」と共に「人生という空間」も生きているのです。
 
 慌ただしい日常の中、現代人は時間を絶えず意識しています。通勤中、仕事中、食事中、睡眠時間、見たい番組の時間、休日の外出…。時計を見なくても、あちこちから聞こえてくる音楽や機械音が発するリズムが時を刻みます。

 
 しかし、時計もなく、テレビやラジオから音楽が流れてくることも無かった時代、人々は時間とか空間という概念をはっきりと分けて意識していたでしょうか。
 太陽や月の動き、雨や風、せせらぎや波の音、人の声、鳥や虫の鳴き声…。
 あけぼの、黄昏時、夜のとばり…。
 すっかり日が暮れるまで夢中になって遊んだ子供の頃のように、むしろ時間と空間が一体となった「間」や「気配」、「雰囲気」を敏感に感じ取っていたのではないかと思います。
 

「時」は金なり 「空間」は…

 さて、現代の日常生活において、時間だけでなく、もう少し「自分が今どんな空間に身を置いているか」ということも積極的に意識してみたらどうなるでしょうか。
 
 たとえば通勤時間。満員電車や渋滞の車内で情報収集や語学学習をするのは、時間を有効に使うという点では良いアイデアですが、空間的には寂しい気がします。一方、人や自然を眺め、季節を五感で感じながら自転車で通勤する場合は、「通勤空間」が充実している感じがします。

 
 たとえば休日。私の場合、今日1日という「時間」を有意義に使おうと思うと、家の中でだらだら過ごすよりは、どこかへ出かけて、「今日も何かしたぞ」という充実感を得ようと考えます。しかし、今日という「空間」を充実させようと意識したとき、真っ先に思いつくのは身の周りを整えることです。

 
 庭の草刈り、花壇の手入れ、部屋の片付け、そして犬や猫にもブラッシング。
 気持ちもスッキリ、庭も家も生き物も、身の周りのみんなが生き生きと美しく輝きだす中、好きな音楽を聴きながら紅茶を一杯。
 ほとんど丸一日かけてようやく手にする至福のとき…。
「生きている間に、あとどれだけこの空間に浸っていられるだろうか…」。
「時は金なり 空間は幸福なり」。
 いわば「空間の嗜(たしな)み」といった趣きです。

 「慌ただしく忙しい毎日から脱出したい…」。もしかしたら「時間」よりも「空間」に、ヒントがあるかもしれませんね。
中島桂一


2015年4月4日土曜日

住宅の「無用の用」

高校に入学して間もなく、漢文の授業で、「無用の用」という老子の言葉を習いました。
「役に立たないように見えるものが、かえって大いに役立つこと」という意味です。
 
 例えば、器といえば、陶器や木、ガラスや紙の茶碗やコップなどを思い浮かべますが、実際に食べ物や飲み物を入れるのに役立っているのは真ん中の空洞部分です。
 普段は意識することもないただの凹みが、実は大切な働きをしているということになります。
 
 住宅にも同じ事が言えます。
 通常、私たちはは柱や床、壁、天井、窓など、目に見えるものだけで住宅を捉えがちです。しかし、人はシロアリやネズミのように柱や壁の中でコソコソと暮らしているわけではありません。
 実際に私たちが暮らしているのは、柱や床壁天井、窓などで作られた空洞部分、つまり室内空間なのです。 


 我々建築業者が基礎をつくり、土台をまわして柱を立て、梁を渡して屋根を掛けているのは「何のため?」と言われれば、「空間をつくるため」に違いありません。
 
 ということは… 我々「建築屋」は「空間屋」ということになりますね。
中島桂一

2014年3月4日火曜日

「間取り」と「部屋取り」

ワクワク係数

 以前、新築されて2,3年たったお客様から
「家事をしながら家の中を動き回っているだけなのに、何でこんなに楽しいのかしら」
 と言われたことがあります。
 設計の打合せをしている時でも、とてもシンプルなプランなのに生活の流れやリズムが感じ取れてワクワクする時もあれば、採光や風通し、動線、使い勝手などは申し分ないはずなのになぜかワクワクしないプランに悩む時もあります。
 この「ワクワク係数」の違いがどこから来るのか考えているうちに、「間取り」という言葉に答えがあるような気がしてきました。
 

間取りと部屋取り

 そもそも「間」とはなんでしょうか。
「間が悪い」「間延びする」「間抜け」「間合いを取る」「間を空ける」「彼の持つ独特の間」など、通常私たちは人や自然、リズムやタイミング、環境やエネルギーなどが作り出す「その場の雰囲気」を表す時に「間」という言葉を使っているような気がします。
 まだ「時間」と「空間」という言葉や概念がなく、そういったものを一緒くたに感じていた頃の古い言葉なのではないでしょうか。
 
 人は住まいの中に様々な「その場の雰囲気」を求めます。
 緊張する雰囲気やリラックスする雰囲気、活発な雰囲気や落ち着いた雰囲気、力が集中する雰囲気や拡散する雰囲気などなど。
 「間取り」の「間」とはこうした「空間の持つ雰囲気」のことと言えないでしょうか。
 雰囲気や空間ですから必ずしも境界や輪郭がはっきりしているとは限らず、目で見るよりは五感で感じるもの、空気かエネルギ-の塊のようなものと考えられます。必ずしも壁や天井で囲まれた「部屋」を意味するものではないようです。
 

間取りと間仕切り

 したがって「間取り」は家の中にいろんな「間」を仕組むことであり、「生活の様々な場面に適した雰囲気の場を作ること」といえるのではないでしょうか。
 そして「間仕切り」はそんな間と間の関係を調整する役割をしているのだと思います。ですから壁や建具で仕切ってはっきりと雰囲気を変える方法だけではなく、距離や仕上材の質感、色、光や窓の加減、天井や床の高低差、目線をさえぎる柱や手摺、格子、家具、温度の高低差を利用するなど、気配を残して緩やかにまたは曖昧に変える方法も考えられます。心の中だけに存在する間仕切りもあるかもしれません。 
 例えば「田の字」型の古い民家の場合、ふすまや板戸をはずすといくつかの部屋がひとつにつながります。しかし依然として南の窓際には暖かくゆったりとした間があり、北の奥には落ち着きと緊張感を持った間があります。床の間や仏壇、神棚の前には神聖な間が存在し、掘りごたつの4辺には家族それぞれに居心地の良い間があります。そうしたたくさんの間が欄間(らんま)や敷居、鴨居、大黒柱や家財道具、時には畳のへりなどによって、ゆるやかに仕切られています。
 

間を旅する

 さて、みなさんのお住まいにはどんな間がありますか。一つ屋根の下に異なるいくつもの間を感じ取ることができたとき、「家の中を動き回る」と言うことがちょっとした旅行のように楽しくなるかもしれません。
 間を旅するときの心の動きによって、生活に良いリズムやメリハリ、躍動感や生命力、そして豊かな感性や情緒が生まれ、そこから家族に良い生活習慣が生まれ、良い人格が育まれ、良い人生を送れるのが「良い間取り」といえるのではないでしょうか。
中島桂一